小麦を食べた後に下痢を経験したことはありますか?
この症状は、単なる一時的な体調不良ではなく、グルテンに関連するアレルギーや不耐症の可能性があります。
当記事では、小麦が引き起こす消化器系の症状の背後にある科学的な理由と、それがアレルギーやセリアック病、グルテン不耐症といった健康状態とどのように関連しているのかを解説します。
さらに、小麦による不快な症状を抑えるための効果的な対策方法を提案し、より快適な食生活への道を探ります。

tokinoya
この記事の監修者
2005年から臨床検査技師として、健診センター、中核病院などに勤務、臨床検査科長や経営推進課の責任者を務めた。 自身がアトピーに子供のころから悩まされていたことから、グルテンフリーや無農薬、添加物に対して論文を読み漁る。現在は酵素風呂などの健康事業を手掛ける経営者。
tokinoyaのプロフィール
小麦で下痢はアレルギー症状

小麦やその他のグルテンを含む食品を摂取した後に下痢や他の消化器症状が発生する場合、これはグルテン不耐症の可能性を示しています。
- グルテン不耐症とは
- グルテン不耐症の治療方法

小麦で下痢をしてしまうという場合は参考にして下さい。
グルテン不耐症とは
グルテン不耐症は、小麦に含まれるグルテンというタンパク質に対する体の反応によって引き起こされる状態です。
グルテン不耐症の人は、パン、パスタ、ケーキなど、グルテンを含む食品を摂取することで、下痢、腹痛、ガスの増加、膨満感などの消化器系の不快な症状を経験することがあります。
これらの症状は摂取後数時間以内に現れることが一般的で、時には即座に症状が表れることもあります。
このため、グルテン不耐症の診断は消化器系の症状が主に現れ、他の病気や状態が除外された後に考慮されます。
グルテン不耐症の治療方法
治療方法としては、グルテンを含む食品の摂取を避けることが最も効果的です。
グルテンフリーの食生活に切り替えることで、多くの患者は症状の軽減または完全な解消を報告しています。
しかし食事の変更は栄養バランスを考慮する必要があり、適切な栄養素を確保するために、栄養士との相談が推奨されます。
小麦による下痢やその他の消化器系の症状がグルテン不耐症の兆候である場合、食生活の見直しと医師や栄養士との連携を通じて、症状の管理と改善が可能です。
小麦でお腹を壊す人は
小麦製品を摂取することでお腹を壊す人々は、セリアック病やグルテン不耐症の可能性が疑われます。
これらの状態は、体がグルテンというタンパク質に正常に反応しないことによって引き起こされることが多いです。
セリアック病は自己免疫疾患で、小麦だけでなくライ麦や大麦など、グルテンを含む穀物を摂取することで小腸の絨毛が損傷します。
この絨毛の損傷により栄養吸収が不十分になり、慢性的な下痢、体重減少、疲労、そして栄養不足に関連するその他の症状が引き起こされることがあります。
一方、グルテン不耐症は自己免疫やアレルギー反応によるものではなく、グルテンを含む食品を摂取した後に消化不良や腹痛、膨満感、不快感などの症状が出る状態を指します。
グルテン不耐症の診断は他の消化器疾患を除外することで主に行われ、現在は医学的に確立された特定の検査方法は存在しません。

これらの症状に悩まされている場合、グルテンを含む食品の摂取を控えることで改善が見られることがあります。
グルテンフリーの食生活への移行は、多くの患者にとって症状の軽減に有効ですが、適切な栄養バランスを維持するために栄養士との相談が推奨されます。
小麦製品によってお腹を壊す場合、それはセリアック病またはグルテン不耐症が原因かもしれません。
適切な医療の指導のもと、食生活の見直しが必要になることがあります。
これにより、症状の改善とともに、より快適な生活を送ることが可能です。
参考文献
・Celiac Disease: A Comprehensive Current Review
・Pathogenesis of Celiac Disease and Other Gluten Related Disorders
ライ麦パンでも下痢を起こす

ライ麦や全粒粉を使用したパンも、小麦パンと同じようにグルテンを含んでいます。
そのため、セリアック病やグルテン不耐症の人にとっては消化不良や下痢を引き起こす原因となり得ます。

ライ麦や全粒粉は、小麦と同様にグルテンを含む穀物です。
セリアック病の人がこれらの穀物から作られるパンや他の製品を摂取すると、体内で免疫反応が起こり、小腸の損傷が引き起こされることがあります。
これにより、栄養吸収が阻害され、下痢や腹痛などの消化器系の症状が現れることが一般的です。
全粒粉製品も含め、これらの穀物製品を摂取することで同様の反応が起こるため、グルテンに敏感な人はこれらの食品の摂取にも注意が必要です。
実際に、セリアック病やグルテン不耐症の診断を受けた人は、食事からこれらのグルテンを含む穀物を排除することが一般的な対処法とされています。
セリアック病やグルテン不耐症の人が健康を維持するためには、小麦だけでなく、ライ麦や全粒粉を含む食品も避ける必要があるのです。
これにより、消化器系の不快な症状を予防し、より健康的な生活を送ることが可能となります。
小麦で下痢ならば検査を
小麦を摂取した後に下痢や他の消化器症状が現れる場合、専門医による検査を受けることが重要です。
これはセリアック病やグルテン不耐症の可能性があるからです。
小麦による下痢は、セリアック病やグルテン不耐症の兆候である可能性があります。

症状が持続する場合はこれらの状態を正確に診断するために、血液検査や小腸の生検などの医療検査が推奨されます。
血液検査では、セリアック病に特有の抗体が検出されることがあります。
もし抗体が陽性であれば、小腸の生検を行い、小腸の絨毛が損傷しているかどうかを確認します。
生検はセリアック病の診断においてゴールドスタンダードとされており、この検査により小腸の絨毛の損傷の程度を評価し、適切な治療方針を決定することができます。
このような診断プロセスを通じて、患者は自分の症状に合った最良の食事調整や治療を受けることが可能となります。
したがって、小麦による消化不良の症状が見られた場合は、迅速に医療機関を受診し、専門的な診断を受けることが推奨されます。
正確な診断を受けることで、セリアック病やグルテン不耐症といった病状を効果的に管理し、健康的な生活を送るための第一歩となります。
参考文献
・Celiac Disease: A Comprehensive Current Review
まずはゆるグルテンフリー

グルテンフリー生活を始めるにあたり、急激な変更ではなく、「ゆるグルテンフリー」からスタートすることがおすすめです。
「ゆるグルテンフリー」では、完全にグルテンを排除するのではなく、徐々にグルテン含有食品の摂取を減らしていくことを目指します。
はじめて行う場合には、精神的にも実質的にもハードルが下がるため取り入れやすく、続けやすいのも魅力です。
この段階的な方法は、特にグルテン不耐症の診断を受けていないが、グルテン含有食品を摂取すると不快感を感じる人に特に適しています。
具体的にはまずはパンやパスタなどの明らかにグルテンを多く含む食品の摂取を減らし始め、代わりに自然にグルテンフリーの食品である果物や野菜、豆類、肉類、魚類を増やしていくことから始めます。
このようにして、体の反応を見ながら徐々にグルテンフリーへと移行していくことができます。

「ゆるグルテンフリー」は、消化器系の不快感を軽減しつつ、食生活の質を維持するための一つの手段として考えられます。
詳細は「ゆるグルテンフリー」でも効果あり?の記事でご覧いただけますので、気になった方は「ゆるグルテンフリー」を始める前に是非読んでみて下さい。