グルテンフリーを行うことで、ダイエットの効果が期待できます。
小麦を控えることで摂取カロリーを抑えたり、咀嚼回数を増やして消費エネルギーを増やすことができるからです。
しかし、無理な小麦断ちや間違えたやり方でグルテンフリーを行うことで、痩せすぎになってしまう場合もあります。
今回はグルテンフリーによるダイエットの効果や痩せすぎにならない方法を解説します。

tokinoya
この記事の監修者
2005年から臨床検査技師として、健診センター、中核病院などに勤務、臨床検査科長や経営推進課の責任者を務めた。 自身がアトピーに子供のころから悩まされていたことから、グルテンフリーや無農薬、添加物に対して論文を読み漁る。現在は酵素風呂などの健康事業を手掛ける経営者。
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グルテンフリーで痩せすぎた人がいる理由

グルテンフリーで痩せすぎた人がいる理由は、間違ったやり方や無理なやり方でグルテンフリーを続けたからです。
例えば、
- 元々パンが好きなのに無理に控えて食欲が低下してしまう
- 小麦を食べない分、他の食べ物で補っていない
このようなやり方だと痩せすぎてしまう可能性があります。
逆に言うと、正しいやり方でグルテンフリーを行えば、健康的にダイエットすることが可能です。
グルテンフリーを正しく行うとダイエット効果がある理由は
- 腹持ちの良い食事
- 摂取カロリーの抑制
- 代謝の高まり
- 咀嚼回数の増加
などです。
以上4点について詳しく解説します。
腹持ちの良い食事
主食として小麦製品を食べる場合と、米を食べる場合を比較した場合、米を食べる場合の方が腹持ちが良いです。
小麦と米を比較すると、小麦製品である食パンの消化時間は2時間以内であるのに対し、ご飯は2.5時間以内と、米の方が消化時間が長いからです。
米の方がゆっくりと消化されるため、長い時間お腹が減りにくくなります。
腹持ちが良ければその分食べる量を抑えることができるため、摂取カロリーを抑えられ、ダイエットに繋がります。
参考:食べ物の消化時間
摂取カロリーの抑制
摂取カロリーの抑制になることも理由です。
小麦でできた食品を食べるよりご飯を食べた方が摂取カロリーが少ないからです。
パン、パスタ、ご飯のカロリーを表にまとめました。
パン(食パン) | パスタ(スパゲティ) | ご飯 | |
---|---|---|---|
1食の目安 | 120g(6枚切2枚) | 100g | 150g(茶碗普通盛り) |
摂取カロリー | 298kcal | 347kcal | 234kcal |
表から、ご飯を食べた時が1番摂取カロリーが少ないことがわかります。
また、食パンの場合バターやジャムを載せて食べることが多く、その場合表のカロリーよりも多くカロリーを摂取します。
パスタも合わせるソースによっては摂取カロリーがさらに上がります。
このような理由から、グルテンフリーで米中心の食生活にすることで摂取カロリーが抑制でき痩せる効果が期待できそうですね。
参考:厚生労働省「食品成分データベース」
代謝の高まり
グルテンフリーを続けることで腸内環境が改善され、代謝を高めることができます。
小麦から作られるグルテンには、腸内環境を悪化させる作用があるからです。
人の消化器官で消化されにくいグルテンは、分解途中で腸にへばりついてしまうことがあります。
腸にへばりついたグルテンによって腸管内の粘膜が炎症を起こし、腸内環境が悪化することがあるのです。*1
腸内環境が良好になると「善玉菌」という腸や身体に良い働きをもたらす菌が増えます。
善玉菌が増えると「短鎖脂肪酸」という脂肪酸が作られ、この短鎖脂肪酸が抗肥満作用や食欲の抑制、基礎代謝の向上に作用します。*2
参考1:グルテンと腸内環境の関係 |健栄製薬
参考2:「肥満予防に短鎖脂肪酸」
咀嚼回数の増加
グルテンフリーで米中心の食生活にすると、よく噛んで食べることが多くなるので一日の咀嚼回数は増加します。
小麦でできた食品は咀嚼回数が少なくなりがちだからです。
麺類は啜って食べることが多く、あまり噛まずに飲み込みがち。
小麦から出来ているうどん、中華麺などの麺類は少ない咀嚼回数で食べています。
また、同じく小麦からできているパンも咀嚼回数が少なくなります。
咀嚼回数が増えると、「食事誘発性熱産生」という消費エネルギーが増加する、という研究結果が報告されています。
参考:噛むことダイエット|かむこと研究室
グルテンフリーのやり方
グルテンフリーのやり方は、グルテンを含む食品を断ち、他の食べ物に置き換えることです。
具体的な食事法としては、米を主食とし、和食中心の食生活にすることがおすすめです。
グルテンが入っている食品はパンやパスタなどの洋食が多く、和食中心にすることで特別な食品を買わなくてもグルテンフリー生活ができるからです。
>>グルテンフリーの食事例を参考にして下さいね。

グルテンフリーの人気の高まりから、大手のレシピサイトや献立アプリでもグルテンフリーのレシピが掲載されています。
簡単な朝食・軽食から取り入れてもいいですね。
簡単に作ることができるレシピも多いため、利用しているレシピサイトで調べてみましょう。
1週間の献立を考えてみると、どんな食材を購入すればよいか把握することができます。
グルテンフリーを1ヶ月くらい続けるとどうなるか、試してみるのもおすすめです。
そもそもグルテンフリーとは、セリアック病の患者のための食事療法です。
グルテンが体に合わないという場合でなければ、厳密なグルテンフリーは必要ありません。
無理をして痩せすぎにならないように、自分のペースでグルテンフリーを試すようにしましょう。
>>グルテンフリーのやり方の記事で詳しく紹介しています。
グルテンを減らすだけのゆるグルテンフリーもおすすめ
パンやパスタが好きで、ずっと和食中心の生活は難しいという方には、グルテンを減らすだけのゆるグルテンフリーもおすすめです。
ゆるグルテンフリーを行っても十分にダイエット効果は期待できるからです。
例えば、グルテンフリー生活で普段の摂取カロリーを抑制できている人であれば、1食だけパンを食べたとしても摂取カロリーの増加はわずかなもので、急激に太るということはありません。
ゆるグルテンフリーのやり方としては
- グルテンを食べてもいい日を決めて、それ以外の日は食べない
- 週、または月に食べても良い小麦の量をあらかじめ決めておく
などがあります。
グルテンフリーで期待できる体調変化

グルテンフリーは単にダイエットの効果が期待できるだけでなく、さまざまな体調の変化も期待できます。
例えば、
- むくみが取れる
- 腸内環境の改善
- 血糖値の上昇が穏やかになる
などです。
この3点について詳しく説明します。
>>グルテンフリーのやり方の記事も参考にして下さい。
むくみが取れる
グルテンフリーによって塩分の摂取量が減り、むくみが取れる可能性があります。
グルテンは塩と相性が良く、グルテンが加工される過程で塩がよく使われるからです。
パンを作る際、グルテン生地に塩を加えることによって生地を安定させることができます。
あまり塩味を感じない食パンでも、実は1食(6枚切2枚)あたり1.4gの塩分が含まれているのです。
1日の塩分摂取量の目標は男性で7.5g、女性で6.5gとされているため、朝食で食パンを2枚をトッピングなしで食べるだけでも1日の20%前後の塩分を摂取することになります。

食パンにはバターやチーズ乗せることもありますし、主食の他に主菜や副菜を用意したら一食の塩分摂取量をオーバーしてしまいますね。
パスタそのものには塩分は含まれていませんが、茹でる時、お湯に塩を入れると思います。
お湯に塩を入れる理由はパスタに味をつけるだけではなく、グルテンがお湯に流れ出にくくする意味もあります。
お米は生の状態でも炊飯後も塩分は含まれないため、お米を食べる場合と比較すると、小麦製品を食べる時は塩分摂取量が多くなりがちです。

塩分を摂りすぎると、身体の塩分濃度を薄めようと体内に水分を溜め込むようになります。これがむくみの原因です。
腸内環境の改善
グルテンフリーを続けることで腸内環境を改善することができます。
腸内にグルテンが留まることで腸内環境を悪化させることがあるため、グルテンフリーをすることで腸内環境の悪化を抑制できるからです。
腸内環境が良くなると、腸に良い影響をもたらす善玉菌が増えます。
善玉菌が増えると、
- 代謝がアップして痩せやすくなる
- 便秘になりにくい
- 肌荒れを抑制
など様々なメリットがあります。
血糖値の上昇が穏やかになる
血糖値の上昇が穏やかになることも体調変化としてあげられます。
小麦を食べると、血糖値は急激に上昇しやすくなります。
小麦に含まれるアミロペクチンAという物質に、血糖値を急上昇させる働きがあるからです。
血糖値が急に上昇すると、血糖値を低下させるためにインスリンという物質が分泌されます。
このインスリンには中性脂肪を合成させる作用もあるため、血糖値が上昇すると結果的に太りやすくなるのです。

グルテンフリーで小麦製品を摂らない代わりに、お米などほかの食品を食べ過ぎて太ったという人もいます。
栄養バランスを崩さないように適切な食事量を心がけましょう。
グルテンフリー痩せすぎに関するQ&A
グルテンフリーとそのダイエット効果について
- 小麦粉が太る理由は?
- グルテンフリー食品はコンビニでも買える?
- グルテンフリーは日本人に意味ない?
- お麩のグルテンは身体に悪い?
- グルテンフリーで体臭が気になる?
- グルテンフリーと糖質制限どっちが痩せる?
以上の疑問に回答します。
小麦粉が太る理由は?
小麦粉を食べて太るのにはいくつか理由があります。

なぜ小麦粉の製品を食べると太るといわれるのでしょうか?
例えば
- 小麦粉製品は米飯に比べて、1食あたりのカロリーが50〜100kcal程度高い
- 小麦粉からできるグルテンは腸内環境を悪化させる可能性がある
- 小麦粉は米に比べると腹持ちが良くない
という理由です。
もちろん、適量の小麦粉製品を食べていれば太ることはなく、お米も食べすぎることによって太ってしまいます。
グルテンフリー食材はコンビニでも買える?
グルテンフリーの食材はコンビニでも購入が可能です。
そもそもグルテンフリーとはグルテンを含む食品を控えることであるため、グルテンを含まない米料理などはコンビニでも手に入れることができます。
グルテンフリーの食事法としては、使用食材を把握できるという観点から自炊がおすすめですが、毎日自炊は大変という方はコンビニも活用するのがおすすめです。
また、一部のコンビニではグルテンフリーのパンなど、小麦製品の代替品も販売されているため、近くの店舗の在庫状況をチェックしてみましょう。
>>グルテンフリーのお菓子の記事も参考にして下さい。
グルテンフリーは日本人に意味ない?
元から小麦粉をほとんど食べない人であればグルテンフリーは大きな体調変化が得られませんが、日本人全員に意味がないというわけではありません。
日本人の中にもグルテンが身体に合わない「グルテン不耐症」の方がいるからです。
グルテン不耐症とはグルテンを摂取することで下痢や腹痛などの症状を起こしやすい体質のこと。
グルテン不耐症の方がグルテンフリーを行うと、体調の改善が期待できます。
日本人に意味がないかについては>>グルテンフリーは日本人に意味ない?の記事も参考にして下さい。
お麩のグルテンは身体に悪い?
お麩はパンやパスタ同様にグルテンが入っている食品ですが、他のグルテン食品と比べて特に身体に悪いということはありません。
パンやパスタとは形、食感が違いますが、お麩のグルテンが他の小麦加工品に入っているグルテンと異なる訳ではないからです。
お麩は、グルテン生地を焼いてから乾燥させることで作られます。実は焼くまでの工程はパン作りととても似ているのです。
もちろんグルテンが入っているので、グルテンフリー中は避けるのが無難ですが、他の小麦製品と比較して極端に避ける必要はありません。
グルテンフリーで体臭が気になる?
グルテンフリーで体臭が気になる場合もあります。
これは糖質が不足することでケトン体代謝が起こるからです。
グルテンフリーで体内のブドウ糖が不足すると、体は脂肪を燃焼させてエネルギーを得ようとします。
この時にケトン体が生成されます。
ケトン体が汗に溶け出すことで体臭の原因となる可能性があります。
ですがこれは一時的なもので、体が落ち着いてくると体臭も気にならなくなります。
>>グルテンフリーで体臭?で詳しく紹介しています。
グルテンフリーと糖質制限どっちが痩せる?
結論から言うと、糖質制限の方が痩せやすいです。
糖質制限の方がカロリーカット効果や血糖値の上昇を抑える効果が大きいからです。
グルテンフリーとは、グルテンを含む食品を控えることで、グルテンを食べない分他の食品で補うことが一般的です。
グルテンフリーでパンを控えてご飯を食べるようにした場合、パンを食べるのに比べるとカロリーや血糖値の急上昇を抑えられますが、ご飯も糖質のため効果には限度があります。
その点糖質そのものを制限していると、摂取カロリーや血糖値の急上昇を大幅に抑えることができるのです。
しかし、糖質制限により摂取エネルギーが少なくなると、代謝が落ちてしまうという心配もあります。

短期間で痩せたい時は糖質制限、長期的に見て痩せたい場合はグルテンフリーと、自分の目標に合わせて使い分けましょう。
まとめ
グルテンフリーを行うと、咀嚼回数が増えたり腸内環境が改善することで、ダイエットの効果が期待できます。
ダイエット効果だけではなく、むくみの防止や血糖値の上昇を穏やかにする効果もあり、健康や美容にも良い変化が見られます。
しかし、無理してグルテンフリーを行うことでストレスを溜めてしまい痩せすぎるという方もいます。
小麦を食べたいときにはストレスが溜まる前に我慢せず食べる、ということも時には大切です。
また、小麦を控えた分他のもので置き換えなければ,
摂取カロリーが足りずに代謝が落ちる原因にもなります。
健康的に痩せることを目標に、心と身体の健康状態と相談しながら無理のないグルテンフリーを継続しましょう。