グルテンが体に悪そうだけど、本当なの?
そんな疑問をお持ちの方にエビデンスを元に、日本人としてはどのように考えることがいいのかという視点でお話できればと思います。
最後までお付き合い頂ければ幸いです。

tokinoya
この記事の監修者
2005年から臨床検査技師として、健診センター、中核病院などに勤務、臨床検査科長や経営推進課の責任者を務めた。 自身がアトピーに子供のころから悩まされていたことから、グルテンフリーや無農薬、添加物に対して論文を読み漁る。現在は酵素風呂などの健康事業を手掛ける経営者。
tokinoyaのプロフィール
グルテン不耐症とは

グルテン不耐症(非セリアックグルテン感受性とも呼ばれる)は、グルテンを含む食品を摂取することによって引き起こされる一連の症状を特徴とする状態ですが、セリアック病や小麦アレルギーとは異なります。
グルテン不耐症の症状には、
- 腹痛
- 膨満感
- 下痢
- 便秘
- 頭痛
- 疲労感
- 皮膚の発疹
などがあります。
グルテン不耐症の診断は、セリアック病や小麦アレルギーを除外した上で、症状の改善がグルテンフリーダイエットによって得られる場合に行われることが多いです。
セリアック病とは違う
セリアック病は、グルテンに過敏に反応して自身の小腸の粘膜を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。
この疾患は北欧人に多い遺伝性の疾患とされています。
欧州では150人に一人、欧米では250人に一人の割合で発症するといわれています。
日本を含むアジア人がセリアック病を発症することは極めてまれです。
ですが、近年の食の欧米化が進み、日本でも主食が米からパンやパスタなど小麦製品に変わりつつあります。
小麦アレルギーとの違い
小麦アレルギーは、小麦を体が異物と認識し、排除しようと攻撃してアレルギー反応が起きます。
小麦を摂取すると、
- かゆみ
- じんましん
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
などが出現し、重い症状になると呼吸困難や血圧低下を伴うこともあります。
小麦粉を吸い込んだり、触れたりするだけでも症状が出る場合もあり、化粧品や洗顔料などにも注意が必要です。

小麦を含んだ食品を食べたあとに運動することで症状が現れるタイプのものもあります。
グルテンが体に悪いエビデンス
グルテン不耐症(非セリアックグルテン感受性)を持つ人々では、腹痛や膨満感などの症状がグルテンフリーにより一定の改善がされます。
しかし、こちらは論争がまだ解決しておらず明確な答えは出ておりません。
引用論文:グルテン関連疾患の範囲に関する最新の概要: 臨床的および診断的側面 (BioMed Central)
グルテン不耐症の日本人の割合
日本は少ないのではないか?などと言われておりますが、20%~80%と幅広い割合の論調を見かけます。
グルテン関連疾患全般のグローバルな有病率は約5%と推定されていますが、特に日本における非セリアックグルテン感受性の割合に関する具体的な数値は提供されていません。

これは検査方法が確立されておらず、そもそも検査しても出てきていない可能性が高いと考えております。
80%という数字は決してオーバーではなく、検査では見つからない隠れグルテン不耐症は一定数確実にいるでしょう。
そもそも日本人には小麦を食べる文化はなく、お米が主食でした。
グルテンを分解できる酵素は必要なかったので、その機能を有していないと考えるのが自然かと思います。
小麦の摂取量に伴って、関連が疑われる疾患の有病率が明らかに増加しています。
グルテン不耐性セルフチェック

かんたんなグルテン不耐性セルフチェック方法は、グルテンを摂るのをやめることです!
やり方はかんたんで、グルテンを2週間摂らない。
そこで起こる体の変化を観察します。
グルテン不耐症の場合起こる症状としては、以下のものがあげられます。
- 消化不良
-
腹痛、膨満感、ガスの増加、便秘または下痢など
- 疲労感
-
通常の活動後でも異常に疲れやすい
- 頭痛や不調感
-
食後に頭痛や全体的な不調を感じること
- 皮膚の問題
-
発疹やかゆみが出ることがある
こちらの症状が改善されるのかを、注意深く観察します。
特に消化不良の場合、合わせて疲労感を感じていることが多いため、一気に解消されることもあるようです。
チェック方法としては簡単なのですが、実行することが非常に難しいです。
まず、グルテンを絶つということはかなり難易度が高いです。
パン・うどん・パスタ・ラーメン・お菓子、あらゆるものに小麦が使用されており、もれなくグルテンが含まれております。
小麦は中毒性が非常に強く、これらを食べないだけでも禁断症状のようなものが出ます。
食べたくて仕方ない時には、グルテンフリーの代替品がおすすめです。
>>グルテンフリーパスタどこで売ってる?の記事を参考にして下さい。
グルテン不耐症の診断・検査
現在のところ、グルテン不耐症の明確な生物学的マーカーは存在せず、症状に基づいて診断されています。
一般的なグルテン不耐症の検査では、抗体検査を対象とした血液検査、遺伝子検査で検査可能です。
しかし、抗体検査で正しい結果を得るためには、グルテンを通常通り摂取していないと検査結果が正しくないことがあります。
食事の管理を含めた検査となるため、準備が必要になることがあります。
またセリアック病の検査には、特定の抗体を対象とした血液検査、遺伝子検査、そして小腸の生検が含まれることが一般的です。
小腸粘膜の直接観察と組織採取が可能なバルーン型内視鏡による検査が必要となるため、一般の胃カメラでは検査が難しいことがあります。
グルテン不耐症の検査
グルテン不耐症の検査は病院で行えます。
検査方法は血液検査と遺伝子検査と2種類です。
保険適用外の検査になるので、どちらも3万円~5万円くらいかかってしまいます。
体に少しの不調であれば、わざわざ検査するのはためらう人もいるかもしれませんね。
自宅で簡単に調べられる検査キットもあります。わざわざ病院で検査するまでもないという場合はこちらを使ってみてもいいかもしれませんね。
グルテン不耐症の病院選び
グルテン不耐症での病気は、小腸関連の検査、治療が強い消化器の専門病院をおすすめします。
小腸の検査というのは、通常の病院では難しく、専門医は勿論のこと専門の検査機器も必要だからです。
こういった対応が可能な病院を選ぶことが大切で、基本的には大学病院となると思います。
グルテン不耐症の治療

グルテン不耐症の治療法としては、グルテンを含む食品の摂取を避けることが推奨されています。
これにより、多くの患者さんが症状の軽減を経験します。
グルテン不耐症はセリアック病ほど深刻な健康問題を引き起こすわけではありませんが、生活の質に影響を及ぼすことがあります。
身体症状だけではなく、うつや不安等の精神症状を有する割合が高いこと、またアトピーや花粉症などにも関連性があるのではないかと考えられ始めています。
参考:グルテン不耐症の実態解明とメンタルヘルスに関する研究|兵庫医科大学
グルテン不耐症を疑ったらグルテンフリーを試してみよう
小麦を含む食品を食べると体調が悪くなるなら、グルテンフリーを試してみましょう。
小麦抜きの食生活にすることで、体調に変化があるかもしれないからです。
完全にグルテン抜きが難しければ、主食をパンからお米にしたり、麺類や揚げ物を控えるだけでもグルテンの摂取量を減らすことができます。
栄養バランスが崩れないように、和食の献立を取り入れるとグルテンフリーの食事になりやすいです。
小麦粉を使っていないグルテンフリー食品を上手に使って、無理のないペースで試してみましょう。
>>グルテンフリーの食事例の記事も参考にして下さい。
まとめ
グルテン不耐症は小麦を摂取することで腹痛や下痢などが引き起こされます。
対処方法は、グルテンを摂らない食生活に変えることです。
グルテンフリーを完全に実践することが難しければ、主食をご飯に変えたり麺類をそばにするなど無理のない範囲で行いましょう。
栄養バランスを崩さないように気を付けて、グルテンフリーを続けていきましょう。